通訳案内士を目指しているのですが、今あえて資格を取得するメリットってありますか?
最近は無資格でも有償でガイドができると聞きました。
この記事を書いているわたしは、ご依頼に応じ稼働する通訳案内士です。
国家資格を取得して以来、6年間で感じたメリット・デメリットの両方について解説します。
通訳案内士のメリット
それでは、通訳案内士のメリットについて、お話しします。観光地よっては無料で入場できる
通訳案内士のメリットは、ガイド証(国家資格証)を見せると無料で観光施設に入場・下見ができることです。
- ツアー催行日とエージェントが決まっていれば入場料が減免されやすいです
- 催行日が決まっていなくても、資格証提示で入場無料になる施設もあります
- 下見のための入場料減免は、全ての観光施設で適用されるとは限りません
美術館・博物館・テーマパーク・観光船等は、下見でも無料になりにくい傾向にあります
通訳案内士の集まりに参加できる
通訳案内士のメリットですが、居住の都道府県に登録することで、有資格者を対象とする案内が届きます。
それにより、通訳ガイド研修や講座・勉強会、各種集りに参加しやすくなるメリットがあります。
研修・講座を活用すると?
- 観光地の勉強や下見などができます
- 熱心な通訳案内士が参加していることが多いです
- 第一線で活躍する通訳ガイドに会えるチャンスが増えます
- 有資格者どうしの交流で有益な情報が得られます
- 交流が仕事の機会に繋がるメリットもあります
表に出ない求人を見ることができる
通訳案内士のメリットといえば、やはりガイドの足掛かりができることです。
通訳ガイドの求人は流動性が高く、表に出ない募集も多々あります。
そういった情報を得られるのも、有資格者のメリットです。
求人を見るには?
- 各種機関に通訳案内士登録
- クライアントと直接取引
- 知人ガイドによる紹介
などが挙げられます。
通訳ガイドで稼働していると、依頼日が重なって引き受けられない案件が、時々あります。
- 自分が辞退した仕事でも、取引先から他のガイドの紹介を頼まれることも徐々に増えてきました
- そんな時は、知人ガイドさん・各地でご一緒した他県のガイドさんにお願することもあります
- 知人ガイドさんから、ご自分の依頼日に重なった仕事を紹介頂いたこともあります
有資格で稼働実績があるという信頼のもとに成り立つメリットです。
定年がない・年齢問わず就業できる
そのほか通訳案内士のメリットとして、就業は年齢を重ねても可能です。
キャリアをスタートできるメリットがあります。 第二の人生として
- 50代、60代、前職を定年後のデビューも珍しくありません
- 定年が特になく、体力知力に自信があれば高齢でも就業可能です
- 70代、80代で元気に活躍中の通訳ガイドさんもおられます
年齢を理由に諦めなくて良いのは、他にない大きなメリットです。
日本全国どこでも就業できる
これも通訳案内士ならではのメリットで、身体ひとつあれば日本全国どこでも就業できます。
家庭の事情で居住地が変わっても、仕事を続けられるのは大きなメリットです。
転居の要因として
- 配偶者の転勤
- 親の加齢によるUターン
- 子供の進学による引越し
などが起こり得ます。
転居の必要に迫られても、新しい土地での就業は比較的しやすいです。
通訳案内士のデメリット
通訳案内士のメリットに続いては、通訳案内士のデメリットをお話しします。
天候・自然災害の影響を受けやすい
通訳案内士のデメリットは、天候や自然災害の影響を受けやすいことです。
仕事が多い繁忙期でも、どんなに有能なガイドでも、天候次第で仕事が突如キャンセルになることがあります。
近年は特に、異常気象による自然災害が起こりやすくなりました。
気候変動や災害によるデメリット
- 台風
- 地震
- 洪水
- 大雨
- 火災
などにより、観光地が良くない影響を受けるかもしれません。
そういった場合、通訳案内士は圧倒的にダメージを受けやすいです。
自分の意思では避けられないデメリットです。
稼働した日数しか報酬が得られない
稼働した日数しか報酬がないのも、通訳案内士のデメリットです。
起こり得るデメリット要因
- 病気
- 事故
- 怪我
- 天候不順
- 自然災害
その他
- 疫病(※2020.2.1追記)
などが挙げられます。デメリットですが不可抗力なので困ったものです。
新型コロナウイルスの伝染拡大により、2020年春の繁忙期に少しずつ影響が出始めました。業務アサインの日程変更やキャンセルなど徐々に増えそうな予感です。(2020.2.1追記)
また、通訳案内士は実力が物を言う職業です。評判が高いガイドに仕事が集まる傾向にあります。
新人ガイドのうちは実績がなく、思うように仕事や報酬が得られない期間が続くかもしれません。
ある程度の実績を積み稼働日数が増えるまで、仕事がない状態でも耐えられる強さが必要です。
下見や自分の教育は自己負担で行う
通訳案内士のデメリットは、下見や自主研修が意外と負担になることです。
特定の会社に所属する通訳案内士であれば、勤め先の会社で教育をしてもらえます。
ですが多くの場合、通訳案内士は会社に所属しません。
仕事の下見や自主研修の費用は、全て自己負担になるデメリットがあります。
また、会社所属のバスガイドであれば、近くの観光地から遠くの観光地へ、経験実績ごとに徐々にレベルアップしていくことが可能です。
一方、フリーランスの通訳ガイドは、遠くの観光地(居住地とは別の県など)へ新人のうちからアサインされることもあります
とは言え、遠くの観光地にアサインされること自体は、考え方次第でメリットとも言えます。
下見費用の痛手はデメリットですが、新人でもベテランと同じ土俵に立たせてもらえる点は、メリットとも取れるからです
有給休暇・ボーナス・健康保険がない
その他のデメリットですが、通訳案内士にボーナスや健康保険はありませんね。
通訳案内士がフリーランスで就業する場合、そのぶん社会保障が手薄くなります。
フリーランスのデメリット
下記のものが、ないのがデメリットです。
- 有給休暇
- ボーナス
- 健康保険
なお、フリーランスの保険は健康保険ではなく国民健康保険です。
病気や怪我をしても会社員と違い、傷病手当がないのも大きなデメリットです。
価格競争で仕事を失う恐れがある
さらに近年では、業務独占のメリットが無くなるという、デメリットも出てきました。
2018年に法改正が行われ、無資格でも報酬を得て通訳ガイド業ができるようになりました。
それに伴い、相場よりも安い料金で就業するガイドが増えることが懸念されます
低料金が重視される場合、高報酬の有資格者であることがデメリットとなって、職を失うこともあり得ます。
2020年現在、通訳案内士として稼働する身の上としては、無資格ガイドさん参入による影響は受けていません。
今後は、資格が無いガイドさんの活躍の場も、少しずつ増えるのかも知れません。
以上、通訳案内士のメリットとデメリットでした。
なら大丈夫