通訳ガイド

通訳案内士と添乗員の仕事内容や違い【経験者が分かりやすく説明】

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通訳案内士と添乗員の仕事内容について知りたいです。

通訳ガイドとツアーコンダクターということで、大きな違いはあるの?

役割や仕事内容にどんな違いがあるのだろう?

 

ともみ
ともみ
そんな風に思ったことはないですか?

 

通訳案内士と添乗員(旅程管理主任者)を経験した、わたくしがご説明します。

※記事内の資格名

通訳案内士=通訳ガイド(≒バスガイド)
添乗員=旅程管理主任者、ツアーコンダクター

通訳案内士と添乗員の仕事内容による違い

今回は、ツアーコンダクターとバスガイドの違いで、仕事内容を説明します。

添乗員とバスガイドの違い

今回は団体バスツアーを例にして、旅程管理主任者と通訳ガイドの違いを見ていきますね。

バスガイドと添乗員というと、何となく似たイメージを持っていませんか?

旅程管理主任者とバスガイドの違いを正確に言える人は、意外と少ないも知れません。

ですが、「観光案内をする人」と「旅程管理をする人」として、バスガイドとツアーコンダクターは違う役割を担っています。

仕事内容も、詳しく見ると異なることに気づくかと思います。

バスガイドとツアコンの違いを表にまとめてみました。

◎大変あてはまる 〇ある ×なし △どちらとも言えない

仕事内容による違い

主な業務 通訳案内士(バスガイド時) 旅程管理主任者(添乗員)
前日の打合せ △:業務によってはミーティングor電話 〇:旅行代理店or電話
座席表の作成 ×:座席自由 〇:前日に作成
前日の電話確認 ×:基本的になし 〇:バス会社・観光地・食事場所・お客様
名簿確認(ミート時) ×:基本的になし 〇:お客様名を照合
ツアーバッジ ×:配布なし 〇:配布・回収等あり
ツアーチケット △:場合により受取確認 ×:基本的になし
集金 ×:基本的になし 〇:旅行代金・車内販売・オプション料金など
観光案内 ◎:ガイディングあり ×:義務ではない
旅程管理 △:添乗員より負担軽い ◎:常に気配り
アンケートによる評定 △:場合によってあり ◎:必ずあり
精算報告 〇:メールor郵送 〇:事務所でor郵送

前日までの打合せ

ツアー打合せについて、通訳ガイドであれば、依頼が入ってから当日までの間にメールや電話で済ませることが多いです。

数台口のバスツアーでは、前日打合せやミーティングが行われます。

複数のドライバーやガイドが携わる業務で前日打合せが無い場合は、当日早めに集合して打合せすることもあります。

ツアーコンダクターは、打合せは基本的にツアー前日です。※ドライバーとの打ち合わせは当日の出発時

旅行代理店または添乗員派遣会社に出向き、翌日のツアーの準備をします。

添乗金(ツアー用の携行金)や指示書、名簿、バッジ、旗、車内販売など必要なものを一式受け取ります。

添乗が連続していると、2~3回分まとめて打合せ・受取をすることもあります。

通訳ガイドについては、慣れているエージェントとは、打合せ簡略がしやすくなります。

何度も取引があるエージェントでなおかつ、ある程度定型化された旅程であれば、少ないやり取りで問題なく業務遂行できるからです。

決まった取引先であれば効率的にやり取りでき、通訳ガイド・エージェントの双方にとって利益になります。

ツアー用の携行金(ファンド)が必要な際は、通訳案内士は立替か事前受け取りです。

添乗員が打合せを前日で一気に終わらせるのに対し、通訳ガイドは依頼日からツアー日まで断続的にやり取りする感じです。

座席表、名簿

座席表や名簿について、通訳案内士は座席表を作成しません。

ツアーの性質上、知らない人どうしの団体でも、大抵は自由席が好都合だからです。

(歩行が困難な方や、状況に応じた配慮はします)

ツアーコンダクターは座席表を必ず自分で作成します。

席順は、お客様名簿をもとに会社の規定に沿って決めます。

歩行が困難な方、ご高齢の方を前席にしたり、お連れ様どうし離れないよう、あるいは知らない方どうし不快にならないよう配席するなど、細やかな作業でした。

※一個団体の時は座席表は作成しません。お客様が好きなように決められるため。

添乗の名簿は、ミート時に名前と照合して確認します。

この名簿は、出発や集合時間に来られないお客様などおられる時に便利です。

通訳ガイドだと、名簿はツアーコンダクターほど頻繁には使用しません。(宿泊ツアーだと名簿の活躍回数は増えます)

電話による確認

電話による確認は通訳ガイドもしますが、添乗員に比べれば回数は少ないです。

添乗員は、業務で電話を頻繁に使用します。

前日の打合せから当日のツアー終了まで、電話は常に重要です。

電話による確認

  • 観光予定地と到着時間や予定人数の確認
  • 食事場所とメニューや予定人数の確認
  • バス会社と車両番号やドライバー名の確認
  • 参加予定のお客様に前日の電話確認
  • 当日の観光や食事の入れ込み確認
  • ほか、旅行会社との打ち合わせが電話の時もあり

ツアーコンダクターによるお客様への前日電話は発生しない会社もあります。

また、業務で使用する電話は貸与されることが多いです。

貸与が無く自分の電話を使用した場合、基本的には通信費が支払われます。

チケットまたは集金

通訳ガイドも添乗員も、お客様からのチケット受取は基本的に無いです。

(※何かの公式団体ツアーなど、チケット確認がガイド業務に含まれる仕事もあります)

他には、通訳ガイドで集金業務は無いですが、添乗員だとあります。

ツアー料金、車内販売、オプション料金など、各種集金が業務に含まれることが多いです。

※通訳ガイドでもごく稀に集金が発生することもあり、可能性がゼロとは言い切れません。わたしの経験だと、確率は0.5%以下でした。

観光案内と旅程管理

通訳案内士と添乗員の最も異なる点は、通訳案内士は観光案内がメインであるのに対し、添乗員は旅程管理がメインであるところです。

ツアーコンダクターと言えば、「観光案内をする人」と思う人もいるかも知れません

ですが実際は、「旅程管理主任者」という名前が示す通り、添乗員の役割は「旅程管理」です。

旅程管理とは、主に時間管理と危機管理を表わします。

お客様からは見えにくい部分ですが、ツアーコンダクターが常に観光地と調整を図ることで、ツアーは滞りなく進んでいます。

中には移動中のバス内で観光案内をする添乗員もいて、それは全て厚意によるものです。

意外と知られていないのですが、観光案内は旅程管理主任者の本分ではありません。(他にもっと気配りしなければならない業務があるため)

※「観光案内」とは、その土地にまつわる歴史・文化・産業などの逸話のことです。旅程管理主任者でも、もちろん観光地の施設(お手洗い・お土産・順路など)ご案内はします。

とうことで

  • 通訳案内士は、常に観光地について話し続ける責任を負う
  • 添乗員は、常に旅程管理と危機管理を万全にする責任を負う

といった具合です。

通訳ガイドも旅程管理や危機管理はするのですが、ツアーコンダクターに比べると負担は少なめです。

アンケートや精算報告

ツアー評価のアンケートについて、通訳案内士には無い時もありますが、添乗員には必ずあります。

ただ、通訳案内士にはアンケートが無さそうに見えても、本人が知らないところで評定されている場合もあるようです。

精算報告は通訳案内士だと、メールまたは郵送で行うことが多いです。

わたしは地方在住のため、関東や関西に集中するエージェントへ出向くことは稀です。

精算報告に関しては、関東・関西在住の通訳ガイドさんの場合、自宅から通える取引先であれば、場合によっては事務所へ行かれることがあるかも知れません。

添乗の精算報告書は、派遣会社または旅行代理店へ持参し提出していました。



通訳案内士と旅程管理主任者の資格による違い

両者の違いを下記に、もう少し詳しく説明します。

通訳案内士と添乗員の違い

ここからは、通訳案内士と添乗員(旅程管理主任者)を資格の違いで見ていきますね。

資格制度と特徴の違い

資格による違い 通訳案内士 旅程管理主任者(添乗員)
資格の種類 国家資格 公的資格
受験年齢・学歴 不問 不問
独学の可否 〇:可能だが対策講座や予備校に通う受験者も多い ×:不可能。所定の科目を修了しないと受験できない
難易度 難関(合格率8~20%前後で年度により変動) 取りやすい(合格率90%以上)
語学力 ◎:必要 △:あまり必要ない
拘束時間 添乗員より短い 通訳案内士より長い
報酬 添乗員より高い 通訳案内士より低い

資格制度

通訳案内士は国家試験を受験して、得られる資格です。

対する旅程管理主任者は、国が認めた団体の研修で受験できる公的資格です。

研修最後には試験があり、合格の必要があります。

通訳案内士がツアーコンダクターをするなら、どちらかと言うと国内添乗がガイド業には直に役立ちます。

総合旅程管理主任者の資格を取れば海外添乗もできますが、通訳案内士のスキルアップで添乗するなら国内が、より適しているからです。

(日本の観光地に詳しくなれるので、国内添乗が好都合)

海外添乗を視野に入れる場合は、総合旅程管理主任者を取られると良いと思います。

受験年齢と学歴

通訳案内士、旅程管理主任者ともに年齢・学歴は問わず受験できます。

性別も関係なく、就業している年代も意外と幅広いです。

通訳ガイドだと、年齢を経てなお活躍されている方を何名も拝見しました。

ツアーコンダクター就業に関しては、体力に自信があれば中高年も可能です。

キャリアチェンジや転職がしやすい業界ということで、社会人でも参入可能です。

独学の可否・難易度

通訳案内士は難関資格ですが、独学で合格される方も中にはいます。

添乗員の試験はそれほど難しくないですが、所定の科目を受講しないと受験資格が得られません。

講座を必ず修了する必要があるため、独学での受験は不可です。

講師によると難易度については、安定して合格率が高く、落ちることの方が珍しいそうです。

そんな理由から、旅程管理主任者は、比較的に取りやすい資格となっています。

語学力

語学に関しては、通訳ガイドなら英検1級またはTOEIC900点以上で英語科目が免除になります。

ツアーコンダクターであれば、実務においては英検2級程度の語学力で大丈夫です。(語学力で試験に落ちることは無いようです)

海外添乗を沢山されるベテラン添乗員さんの英語を聞いたことがありますが、実際に英検2級くらいで大丈夫そうでした。

拘束時間・報酬

拘束時間に対する報酬は、添乗員より通訳案内士が高額です。

しかしながら、通訳ガイドと旅程管理主任者では性質が違うため、金額だけで一概に比較ができません。

両方を経験した者としては、どちらも貴重な人生経験となりました。

添乗員と通訳案内士の違いについては、下記でも知ることができます。

中村正人(著)ぺりかん社~目次引用~[1章]ドキュメント”おもてなしの心”をもって[2章]通訳案内士の世界・通訳案内士の仕事・生活と収入・通訳案内士になるには[3章]添乗員の世界・添乗員の仕事・生活と収入・添乗員になるには

ということで、まとめです。

通訳案内士と旅程管理主任者の違い
  1. 通訳案内士は観光ガイドが本分
  2. 添乗員は旅程管理が本分
  3. 通訳案内士は難関の国家資格
  4. 旅程管理主任者は取りやすい公的資格
  5. どちらも幅広い年代で挑戦可能

何かを始めるのに、遅すぎることはありません。

興味があれば、国内旅程管理主任者に挑戦してはいかがでしょうか。