通訳案内士と通訳ガイドと通訳の違いって何ですか?
できれば全国または地域通訳案内士との違いも教えて欲しいです。
当サイト運営者は、いちおう全国通訳案内士です。
通訳案内士と通訳ガイドと通訳の違いとは?
通訳案内士と通訳ガイドの違い
それでは、各名称の特徴を解説しますね。
通訳案内士とは
- 外国人につきそい外国語を用いて旅行に関する案内をする
- 国の認定制度である国家資格を持っている
- 国家資格の全国通訳案内士を表わす名称である
- ただし、地域通訳案内士に対し便宜的に用いることもある
※2018年施行の改正法より前は、「通訳案内士」が「全国通訳案内士」を意味する正式名称でした。
通訳ガイドとは
- 通訳案内士と同じ意味で用いられる
- 通訳案内士の普段の呼び方(俗称)である
- その業務内容を通訳ガイドと呼ぶこともある
通訳案内士と通訳の違い
通訳案内士は、通訳よりも観光ガイドの役目を多く担います。
通訳案内士とは、外国語で観光案内をする人です。
- 日本の地理・歴史・文化を自分の言葉で説明する
- 観光ガイドと添乗員の両方を兼ねた役割である
- 旅行業に関する知識や経験が必要とされる
- 業務中は外国語を話すことが多い
- 資格制度がある
通訳とは、外国語と母国語で話された内容を訳す人です。
- 多岐に渡る領域で他者の言葉を通訳する
- 様々な業界分野に対応できる言語力が求められる
- 日本地理・歴史・文化とは必ずしも関係がない
- 業務中は外国語と母国語の両方を話す
- 資格制度はない
一般的に、語学力は通訳者の方が上だと言われています。
しかしながら、通訳者の中には「地理や歴史を覚えるのが苦手でガイド業務はできない」という人もおり、どちらが難しいとは一概に言えない部分があります。
両者は、同じ英語の業務ながら似て非なるものです。
比較項目 | 通訳案内士 | 通訳 |
国家資格制度 | あり | なし |
語学レベル | 上級 | 最上級 |
英検の目安 | 英検1級で一次試験免除 | 国家試験は無いが英検1級以上~英検超越レベル |
TOEICの目安 | 840点~免除の時代あり(2019年度現在は900点~一次試験免除) | 国家試験は無いが900点台~TOEIC超越レベル |
歴史・地理・文化の高い知識 | 暗記など常に必要 | 必ずしも必要なし |
話す内容 | 自分の言葉で説明 | 他者の言葉を伝える |
※上記の基準は、おおまかな目安です。英検やTOEICで所定の成績を修めていないと業務ができないという意味ではありません。
通訳者でも副業でガイド業務をする人(ガイド国家資格保持)はいます。または、通訳案内士が副業として通訳をする場合もあります。
そして実はガイド業務でも、ちょっとした通訳をする場面が時々あります。
一例として
- 観光施設の通訳(杜氏や陶芸家による説明など)
- 学芸員の通訳(美術館・博物館・陶芸館など)
- レストラン注文時の通訳(英語メニューが無い時など)
- 地元の人や店員の通訳(会話や買い物の手伝い)
- 宴会・食事会の通訳(カジュアルな挨拶・談話など)
通訳業務を専門とする通訳者の比では無いですが、通訳案内士の名称の背景には、こういった事情もあります。
詳しくは下記の参考書でも、どうぞ。
全国通訳案内士と地域通訳案内士の違いとは?
全国通訳案内士と地域通訳案内士の違い
ところで、全国と地域の資格の違いは何でしょうか?
全国通訳案内士は
- 国が認定する国家試験に合格する必要がある
- 通訳案内士の正式名称である
- 名称独占規制により有資格者のみ名乗れる
地域通訳案内士は
- 各自治体による独自の認定制度に合格する必要がある
- 国によって統一された正式名称である
- 上記の有資格者は地域通訳案内士を名乗れる
地域通訳案内士の育成は、実施する地方自治体の管轄です。
取得年度や実施自治体により資格の名称が異なっていました。
過去には「地域限定通訳案内士」「地域特例通訳案内士」として資格取得した方もおられます。現在は全て「地域通訳案内士」の名称に統一されました。
改正通訳案内士法より前、地域通訳案内士は定められた地域の通訳ガイド業務のみ可能でした。2018年1月に業務独占規制が撤廃され、現在は日本全国で有償ガイドとして稼働できます。
その他、無資格ガイドとの違いも気になりませんか?
無資格ガイドと通訳ガイドの区別
せっかくなので、無資格ガイドについても解説しますね。
無資格ガイドとは
- 外国語ガイドだが国や地方自治体の認定は受けていない
- 全国通訳案内士・地域通訳案内士いずれの資格も持たない
- 改正法により有償で通訳ガイド可能になった
- ただし法律により、通訳案内士は名乗れない
- 通訳案内士に類似する名称も名乗れない
無資格ガイドが通訳ガイドを名乗ることは可能か?
ですが、業務独占規制から名称独占規制への移行に伴い、資格が無くても報酬を得て「通訳ガイド行為」を行うことは可能になりました。
今後は、業務内容としての通訳ガイド行為に、無資格ガイドが参入する可能性が高まっています。
ということで、まとめです。
- 通訳案内士と通訳ガイドは同じ意味
- 呼び方は「正式名称寄り」か「俗称」かの違い
- 通訳とは資格制度や業務内容が異なる
- 通訳者が副業でガイドをする場合もある(逆も有)
- 全国・地域・無資格を問わず有償で全国ガイド可
今回は以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。