通訳ガイド

通訳案内士だと車の運転手はできませんよね【道路運送法の話】

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通訳案内士が自家用車を運転して観光案内することは、道路運送法で禁止されており今のところ運転手はできませんよね。

ということで今回は、通訳ガイド業における車の運転について考えます。

当ブログ運営者は、車の運転免許を持つ通訳案内士です。思うところがあって、マイカーは今春に手放したのですが...

道路運送法で単なる通訳案内士は車の運転手ができません

「通訳案内士は自家用車で運転手として観光案内できない」という決まりについて。

見落としがちなのですが、日本の法律で定められていますよね。

そして営利目的で旅客の運送をする際は、国からの許可を得ることが必須です。

(各種条件があり許可を得ることは簡単ではありません)

通訳案内士と道路運送法

通訳案内士が観光案内で報酬を伴う運転手ができない理由ですが、以下の文言が根拠となります。

 

通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について

   今般、一部地域において、通訳案内士の資格を有する者が報酬を得て通訳案内を行う際、自家用車を用いて観光案内を行っている等の報告がなされているところである。
   このような形態は、道路運送法(昭和26年法律第183号)上の許可を受けずに旅客自動車運送事業(他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業)を行うことを禁止する道路運送法第4条第1頁、第43条第1頁又は自家用車を有償で運送することを原則として禁止する同法第78条の規定に違反する行為となる。

出典:国土交通省ホームページ(注意※PDFで開きます)
https://www.mlit.go.jp/common/001246137.pdf

 

上記は、国土交通省の自動車局旅客課長による通達(平成29年8月14日)からの引用文です。原文は国土交通省の公式サイトで見ることができます。

この法律に照らせば、無資格ガイドさんも、有償の観光案内で自家用車の使用はできません。

通訳案内は車の運転手は不可

先の通知によると、通訳案内を行う際の運送行為について、利用者から運送費名目の金銭等を受け取らず、見かけ上無償で行われている場合であっても、通訳ガイド業務を伴うのであれば注意が必要です。

というのも、旅客運送と一体的に行われる通訳案内に対価が支払われる場合、その運送にかかる経費も通訳案内業務によって受け取る料金で賄われており、事実上は有償で車の運転手をしていると判断されるからです

すなわち、通訳案内士が自家用車を運転して有償で観光案内すれば、道路運送法による規定で法律違反となります。

道路運送法に違反せず車の運転手ができる通訳案内士とは

しかしながら、中には通訳ガイドでありながら「外国語で観光案内する運転手」として活躍されている例もあるではないか、といったご意見もあるかもしれません。

それについては、自家用車ではなくタクシー事業者など、国から許可を得ている場合は違法にはなりません。

通訳案内士と白タク行為

そもそも、通訳案内士の自家用車による観光案内がなぜ問題視されるのか?と言うと、国の法によりそれが「白タク」行為と判断されたからです。

  • 白タクとは?…白色のナンバープレートをつけた個人用の車が、営利目的で旅客輸送を行った場合その名称で呼ばれます(=白いナンバープレートの違法タクシー)
  • 営利目的で合法的に旅客輸送をする事業者は、国から営業許可を受けており、ナンバープレートの色は緑です

そんなわけで、街を行き交うバスやタクシーのナンバープレートは緑色をしています。

※軽自動車のナンバープレートは黄色ですが、違反すれば白タクと同様の扱いです。

通訳案内士で運転手するなら?

だったら通訳ガイドで個人タクシーを開業するのはどうだろう?と考える方もおられるかもしれませんね。

そうすれば確かに通訳案内士で運転手をしても違法にはなりませんが、個人タクシーの開業には厳しい条件があり、誰でもすぐに開業可能とはいかないようです。

ほんの一例ですが、ざっと見ただけでも以下の決まりがありました。

  • 法人での勤務経験(タクシー会社でドライバー歴10年以上)
  • 年齢による必要条件(年齢制限があり開業年齢でも異なる)
  • 開業のための資金(総額で200万円ほど準備が必要である)
  • 営業区域のルール(定められた区域内でのみ営業ができる)
  • 第二種免許の保有(旅客運送のために定められた運転免許)

上記はごく一部で、他にもクリアすべき条件が数多くあります。

今すぐに、どうしても運転で通訳案内したいなら、タクシー会社に就職の形になりそうです。

というわけで、国の許可を得ていなければ道路運送法に違反とされ、単なる通訳ガイドだと運転手はできないというお話でした。

なお、わたしもいちおう通訳ガイドですが、上記とは別の理由で車を所有する必要性があまり感じられなくなり、いったんマイカーを手放すことにしました。

奇しくもコロナウイルスの感染拡大と時期が重なり、マイカー維持費の負担を無くしておいて良かったです。

それについては、また機会があればお話したいと思います。

ということで、今回は以上です。