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通訳案内士に向いている人の適性は気にしつつ捉われない

通訳案内士に向いている人の適性は気にしつつ捉われない
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通訳案内士に向いている人の適性ですが、「自分は向いていない?」と思うことがあります。

通訳案内士の「あるべき姿」にとらわれ、足りないものばかり目が行くようになった時です。

そして適性を気にし過ぎるあまり、大切な個性まで見失いそうになります。

ですがそれって結局、お客様のためになるのでしょうか?

ということで今回は、通訳案内士が、通訳ガイドに向いている人の適性について考えます。

通訳案内士に向いている人の適性は気にしつつ捉われない

通訳ガイドに向いている、向いていないなど、適性は気になるところですが…

通訳案内士に向いている人の適性?

通訳案内士に向いている人の適性って何ですか?

イメージの一例としては、下記の感じでしょうか。

通訳ガイドに向いている人の適性?

明るくて面白い
機転や気が利く
何にでも詳しい
ハキハキと話す
おもてなし上手

この適性を見て、「自分は全て持っている」と思われた方は、素晴しいと思います。

あなたにとって、通訳ガイドは天職と言えるかも知れません。

ですがわたしの場合、上記の適性を思い描けば描くほど「あるべきガイド像」と自己の姿に隔たりを感じていました。

そして「自分は通訳ガイドに向いていないのでは?」という気分にさえなるのでした。

通訳案内士に向いていない人の特徴?

ところで、通訳案内士に向いていない人の特徴って何なのでしょう?

一例としては、下記の感じでしょうか。

通訳ガイドに向いていない人の特徴?

頭の回転が遅い
方向音痴である
要領がよくない
物静かで控えめ
特に明るくない

こんな通訳ガイドがいたら嫌だと思いますか?

これらは全て、わたしが自分に当てはまると感じている特徴なのですが。

向いていないと言われたバスガイド

ところで、過去に何名かのバスガイドさん達とご一緒する機会に恵まれてきました。

そこで交わした世間話の中で、今でも胸に残っているエピソードがあります。

その方は正確に言うと元バスガイドさんでした。

高校を卒業と同時にバスガイドになられたそうです。

10年間務めてから結婚を機に退職され、さらに月日が流れ単発アルバイトに来られた、とある場所でお会いしました。

感じが良くとても素敵な方でしたが、高校生の時は大変に大人しかったそうです。

どれくらい大人しかったかと言うと...進路相談の席で担当教諭からバスガイドの夢に反対されたくらい、本当に大人しかったと言います。

ですが「バスガイドになりたい」という強い希望があり、それを叶えられました。

そしてその方は10年以上も勤続されたのに対し、目立つのが好きなタイプの同期生たちは早々に退職していった、ともおっしゃっていました。

内向的/外交的、どちらが優れているということでは無く、そういうことってありますよね。

通訳案内士に向いていない向いているの適性について

通訳案内士の適性ですが、「向いていない」「向いている」の二者択一ではなくて、自分の持ち味を良い方向に活かせれば、良い結果に繋がるとわたしは経験から学びました。

添乗員やボランティアでの活動まで含めて、良いツアー/悪いツアーの両方を知り、身をもって手に入れた、これが自分の答えです。

自分の適性は向いていない?

「自分は通訳案内士に向いていない?」という気がかりについて、わたしはボランティアガイドも判断材料にしました。

内容は英語による町あるきガイドです。

自分に関しては、ボランティアガイドを経験してみて「絶望的なまでに向いていない」「1ミリも向いているとは言えない」と感じたら、やめた方がよいのではと考えていました。

わたしの性格は取りたてて「明るい」ということはなく、どちらかと言うと地味で目立たない方です。

元来の性質でテキパキと器用な方でもなく、じっくりと考え事をするのが好きなタイプです。

それでも、そんなガイドでも喜んで下さるお客様がおられ、国家資格にも挑戦しました。

通訳ガイドの適性について

「向いている」「向いていない」の適性について、ガイドデビューの以前から、わたしも折にふれ考えてきました。

「結局とのころ喜ばれるガイドとは?」との手がかりを得るために、現場でご活躍の通訳ガイドさんの本を読みふけったこともあります。

ということで、特に心に響いた言葉の中から下記ご紹介です。

優秀なガイドになるために必要なことは、生き字引であることでも完璧な英語を話すことでもないということです。それよりも親しみやすい性格やお客様の役に立ちたいという真摯な心が重要です。

引用元:『プロが教える現場の英語通訳ガイドスキル』クリス・ローソン, 伊集院幸子著 三修社(2010年)p.15

 

著者の伊集院幸子さんは、子供の頃から海外経験が豊富な方です。

そんなガイドさんでもやはり、「語学や知識が最重要ではない」との見方で励まされます。

 

日本の歴史と文化に関する幅広い知識は不可欠とはいえ、日本史の全事実に精通している必要はありません。また、ガイドにとって人当りの良さとユーモアのセンスを持ち合わせていることはもちろん好ましいことですが、エンターテイナーになる必要はありません。

引用元:『プロが教える現場の英語通訳ガイドスキル』クリス・ローソン, 伊集院幸子著 三修社(2010年)p.16

 

ごく一部しかご紹介できないのが残念ですが、この本には示唆に富むアドバイスがたくさん記されています。

それらは全て、現場の通訳ガイド経験から生まれてきた言葉です。

他にも、勇気づけられた本として通訳案内士・志緒野マリさんの著書があります。

向いていない部分の対処法

通訳案内士に向いていない人の特徴で、「方向音痴」は致命的なイメージがあるのですが、志緒野さんは著作でご自身のことを「方向音痴」だと書かれていました。

愛される通訳案内士にふさわしく、失敗談さえも面白おかしく描かれており、どのエピソードを読んでもすごく好感が持てます。

こんな風に本を何冊も出版するまでになられた通訳ガイドさんでも、苦い経験や不得意があったのだと思うと、とても勇気づけられました。

(しかもそれを乗り越えて笑いに変えているところが本当に素敵です)

特に方向音痴のくだりは目からウロコで、わたしのような者(不器用で少し方向音痴ぎみ)でも通訳ガイドに挑戦してみてよいのだ、という気持ちになれました。

それでもやはり、弱点の改善はしたいので、わたしの場合は添乗員でスキルアップという方法で決着するのですが…

ちょうど同じ頃、別の通訳ガイドさん 島崎秀定さんの著書を読み、島崎さんも添乗員をされたことを偶然に知りました。

おかげさまで、「自分がこれからしようとしていることは間違っていない」と添乗員への勢いもついた次第です。

適性を通訳案内士に向けよう

生まれながらにして通訳案内士の適性があるとは、とても言えないわたしですが、自分の持ち味で、通訳ガイドに活かせる資質はあると思っています。

「お客様の旅をより良いものにする」というゴールは全ての通訳ガイドにとって同じでも、ゴールまでの道のりは人それぞれだからです。

要は「自分の資質をいかにしてお客様のために活かせるか」ということなので、わたしは自身の個性を次のように受け止めています。

また、「向いていないのでは」と思われる部分の解決法も合わせて書きました。

通訳案内士で活かしてきた資質の一部

  • 思考力…じっくりと考えごとをするのが好き

①抽象的思考…互いに関係なさそうな事象において、共通点を見つけるのが得意
②論理的思考…込み入った問題を、誰にでも分かりやすく説明することができる
③哲学的思考…幼少時から世の中に対する疑問だらけで、答のない問いも大歓迎
④批判的思考…適切な解を求めて社会の常識を疑い、観察や分析をするのが好き
⑤創造的思考…既に存在するものを組みわせて、新たな価値を生み出していける

  • 行動力…思い立ったが吉日で必要に応じて行動をしてきた
  • 傾聴力…自分が話すより相手の話を聞くのに喜びを感じる
  • 忍耐力…がまん強さと継続力には自信あり
  • 身体力…身体が丈夫で神経も結局は図太い

自分の資質で心配な部分だって、変えられるところは改善すれば良いだけの話です。

あと、自分では欠点だと思っていたところが意外と重宝される場合もあります。

弱点の改善方法

  • 頭の回転が遅い→頭は使えばよくなる。めげずに現場に行き引き出しを増やす
  • 方向音痴である→下見や下調べを念入りにする。国内添乗員でもスキルアップ
  • 要領がよくない→通訳ガイドや添乗は「才能」より「慣れ」なので諦めず経験
  • 物静かで控えめ→賑やかさより落ち着き。必要に応じ通る声で話せば問題なし
  • 特に明るくない→場の雰囲気や流れに応じ適度に明るく振る舞えれば問題なし

なおかつわたしの場合、自分のあたまが悪いことが本当に幸運だったと思います。

知識と理解力に乏しい自分に分かる説明を考えれば、誰にでも分かる説明ができるようになるからです。

また、ガイドといえば際限なく話し続ける人、といったイメージもあるかと思います。

ですが私については、お客様が堰を切ったようにご自分のことを話し始めることがあり、そんな時は不思議とガイドの評価も高かったです。

あるいは、現場でたまに遭遇する関東からの通訳ガイドさんがおられ、その方はわたしを見かける度に「地味だ、地味だ」と珍しがります。

「こう見えて楽しく盛り上がる時もありますよ」と反論したところ、「いや。あなたのようなタイプは珍しくて逆に貴重だから良いと思うよ」と温かい(?)お言葉を頂戴しました。

ということで、通訳案内士の適性は気にしつつ、とらわれ過ぎないのが良いと、わたしは考えています。

「あるべき姿」や「適性」にとらわれ過ぎて、行動の機会を失うのはもったいないです。

「自分はもう1ミリも通訳案内士に向いていない」「絶望的なまでに向いているとは言えない」と感じるなら話は別ですが、挑戦したい気持ちがある限り行動はしておきたいものです。

向いている、向いていないの適性は誰だって気になるところではありますが...

上手くいかなければ、またその時に考えればよい。

といった感じで、改善をしつつあなたの個性や資質を良い方向に活かせれば、通訳案内士の経験って増えていくのではないですか?

わたしは自分の個性や資質を良い方向に活かせるよう、引き続き行動するつもりでいますよ。

ということで、また次回に。