通訳ガイド

通訳案内士の英語でおもしろい話【お客さまとのエピソード】

通訳案内士の英語でおもしろい話【お客さまとのエピソード】
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

通訳案内士ですが、英語で通訳ガイドをしていると、おもしろい話題に時どき出遭います。

わたしの場合、自分がネイティブスピーカーでは無いため、いつも何かと試行錯誤です...

ということで今回は、通訳案内士の英語についての逸話をご紹介します。

通訳案内士の英語でおもしろい話【お客さまに伝える編】

これは、通訳案内士の英語にまつわる話です。

ガイドをしていて面白いと言うか...悲喜こもごもの英語表現について、逸話のご紹介です。

通訳案内士を英語で言うと

通訳案内士を英語で言うとNational Government Licensed Guide Interpreterですよね。

これは、平成30年1月に国土交通省観光庁によって定められた名称です。

わたしが通訳案内士資格を取得した時は、この正式名称がありませんでした。名刺に英語表記を入れようとして、資格名の書き方を悩んだ覚えがあります。

発行して頂いた通訳案内士の登録証にはNational Guide Certificate と記載されており、わたしはそれに準じる表現で対応。ぴったりな英訳にならず気になってました。

改正法後の現在は登録証にもNational Government Licensed Guide Interpreterと表記されているようで、肩書を英語で表現する際も迷わずに済みますね。

(わたしは今使用中の名刺には英語による表記は入れていません)

英語ガイドのお手洗い事情

英語で通訳ガイドをしていると、多国籍の団体ツアーで「お手洗いの案内」に迷います。

国によって、お手洗いを表わす英語が少しずつ異なるからです。

公共のお手洗いの例

  • アメリカ Rest room
  • イギリス Toilet
  • カナダ Washroom
  • フィリピン Comfort room(CRと略したりもする)

上記のほか、英語が母語でない場合、Toiletを使われることが多い印象です。

英語を覚え始めた頃、アメリカ英語だとお手洗いを表わすのにToiletは、とても直接的過ぎると聞きました。

本当はアメリカ人のお客さまがおられる席で、Toiletの語彙を使わない方が良いことも知っています。

ですが混載の場合、全員の国籍を加味して表わすスマートな表現が未だ思いつかず、多国籍のツアーでは一言で伝わるよう、敢えてToiletの語彙を使用してきました。

お客様の母語によっては、品の無いガイドだなと思われているかも、と少し心配です。

直訳すると危ない!飲み物

通訳案内士ですが、以前にレストランのメニューを翻訳したことがあります。

ドリンクメニューを訳すにあたって商品名が気になり、それで通じるのか調べてみました。

日本では当たり前に使用されている名前でも、国が違えば違う意味になると聞いたことがあったからです。

ドリンクメニューで気になっていたのは「カルピス(CALPIS)」です。

外国では別の商品名で扱われているのでは?と心配で調べてみると...カルピスは「カルピコ(Calpico)」という名前になっていました。

その理由は?

カルピスを英語風に発音するとLの発音が弱くなるため

  • CALPIS
  • Cow piss
  • 牛の...(すみません書けません)

と聞こえてしまうそうで、配慮が必要な商品名でした。

ツアー中にレストランでお客さまに説明する際も要注意ですね。

カルピスのことを知らないお客さまには、乳酸飲料ということで

  • lactic acid drink
  • cultured milk
  • probiotec drink

などの語で説明すると伝わりやすそうです。

画像検索してみたところ、lactic acid drinkでカルピスの画像が最も多くヒットしました。その他、ヤクルトや飲むヨーグルトも同じ説明で表すことができます。

辞書は通じない?花の名前

通訳ガイドをしていると、花の名前もよく使います。

通訳案内士の資格取りたての頃、団体ツアーで「菜の花」の話題が出た時のために、前もって辞書で英名を調べていました。

わたしが最初に見つけた語彙はrape blossomsで、日本語を母語とする身には少し不穏な響きがします。

本当にこれで通じるのかな...と不安を感じつつ、その時は他にぴったりの言葉を探せずにいました。

ツアー中に菜の花の話題になり、思い切ってrape blossomsを使ってみたのですが、案の定と言うか...お客さまの間でひそひそと囁くような反応が見られました。

 

英語ガイドの場合、英語を母語としないお客さまも多く来られるため、他にふさわしい表現があるのではと思い、改めて英名を調べ直しました。

 

そこで見つけたのがcanola flowerでした。「ああ、キャノーラ油の植物だ!」と、これなら日本語が母語のわたしにもスッキリと腑に落ちます。

以来、菜の花の英名はcanola flowerでご案内し、どのツアーでも不穏な空気になることはありません。

誤訳すると笑える!木の名前

通訳ガイドをしていると木の名前もよく使います。

これも通訳案内士の資格を取って間もない頃、観光地にある木を指さして「この木は何という名前なの?」とお客さまから聞かれたことがあります。

「槙の木」であることは、ひと目で分かったものの、まだ英名を知りませんでした。

 

植物名は、調べると学名など難解な語彙が出てきたり、上記のrape blossomsのように伝わりにくかったり...と的確な表現にたどり着くのに、意外と時間を要します。

 

「日本名だとMakiと言うんですけどね」と伝えつつ、英名を探っていたところ「まきって巻き(寿司)のことですか?」と可愛らしい発言が聞こえてきました。

お客さまも木の英名を検索されており、お持ちのスマートフォンを覗かせて頂くと...日本語の同音異義語にヒットされたようです。

「まき=Maki sushi」と出ており、息を呑みました。

さて、槙の英名はと言うと、わたしが調べたところでは、podocarpusあたりが伝わりやすそうです。

槙がイメージできない方は、ラカンマキやイヌマキで画像検索してみてください。

植物の英名に迷った際は、画像検索で確認しイメージに近いものを選ぶと良いですね。お客さまが後日にご自分で調べた際に、その植物に辿りつけることが重要かと思うので。

通訳案内士のおもしろい英語【お客さまから教わった編】

通訳案内士のおもしろい英語ですが、お客様との会話から学ぶこともあります。

Herding Catsの意味

通訳案内士で、今までに一番おもしろいと思った英語といえば...わたしの場合"herding cats"の話です。

これはネイティブスピーカーのお客さまから教わった表現で、絶妙に通訳案内士の本質を突く語だと思います。

ある時、英語圏からの団体ツアーでガイドをご用命頂きました。

 

けっこうな大人数でありながら、参加者は個々の時間をマイペースに楽しみたい雰囲気でした。

自由な雰囲気を尊重しつつも団体を崩さないよう注意を払っていると、観光地を歩いている最中に一人のお客さまから、ふとこんなお声かけを頂きました。

「わたし達の国ではね、観光ガイドの役割をherding catsという言い方で表したりするの。自国のガイドにとっても割と根気のいる仕事なのね」

 

すなわち、お客様の国では、観光ガイドといえば「猫の群れを率いる」のに例えられるくらいリーダーシップが要る仕事という認識だそうです。

※慣用句として「何かとても無理なこと」「困難を伴うこと」が本来の意味です。

別の言語のガイドさんも、似たような話を聞いたことがあると言います。ツアーガイドというのは、どの国でも体力と気力が試される職業のようです。

お手洗いの婉曲表現

ところで、お手洗いの婉曲表現ですが、後日にお客さまから英語でおもしろい話を教えていただきました。

しかしながら、それはおそらく他所の土地の通訳ガイドさんの持ちネタ的なものと思われるため、詳しい話は控えさせていただきます。

ヒントだけ書くと、日本語の慣用句を英訳した、おもしろい言い方でした。

その表現であれば、優雅でウィットに富んでいて、お客様もくすっと笑われることと思います。だからと言って、自分がそれを使用するのかと言えば、そうもいかないのですが...

通訳ガイドさんそれぞれに工夫を凝らされているのだな、と勇気が出たエピソードでした。

身体を思い出す菓子

最後に取り上げる、おもしろい英語は、英会話クラスでネイティブ講師から得た知識です。(わたしが初心者だった時の話)

その日は、おもしろい和製英語をトピックに皆で会話をしていました。

 

「ネイティブスピーカーの感覚だと不思議でおもしろい響きになる商品名ってありますか?」と質問してみたところ、とあるお菓子の名前があがりました。

 

そのお菓子の商品名は英語だと身体を思わせる響きがして、すなわち「大腸」と同じ発音であると気づいた、と言います。

医療関係の技術者である旦那さまが、その商品をスーパーで見て絶句されていたそうです。

わたしにとっては大好きなお菓子なので、見る度に楽しかった英会話を思い出します。

ともみ
ともみ
他にも、まだまだ、おもしろい英語表現ありそうですよね。

ということで、おもしろい英語、お客さま(&講師)とのエピソードでした。

ネイティブスピーカーの感覚について知りたいなら、下記の本もおすすめです。

ネイティブならそうは言わない 日本人が習わない英語 (ディスカヴァー携書)

言葉には誤解がつきもので、扱いには注意を要しますが、それを和らげるべく尽力するのも通訳案内士であったり、通訳の役目なのかなと思います。

和やかな言葉の使い手になれるよう、引き続きわたしも勉強していきます。