わたしの場合、通訳案内士で京都へのご依頼は殆ど無いのですが(九州在住なので)
京都観光をした後のお客様を、地元(九州)でお引き受けすることは度々ありました。
それにしても噂には聞いていたけれど、自分の身の上に同じことが起こるなんて...
もしかして、あなたにも似たような経験ありませんか?
通訳案内士と京都のHで始まる城
「通訳案内士と京都にまつわるお話」ということで、今回はお伝えしています。
通訳ガイドをしていると、何かと衝撃の展開にめぐり遭いやすいですよね。
外国からのお客様であれば、日本語に不慣れなことも多いですし
...ということで、はじまりはじまり。
それは京都ではなく九州で起こった
思い起こせば、あれは本当に不思議な出来事でございました。
その事件は京都ではなく九州で起こったのでございます。
ある日のこと、わたくしは大勢の外国人ゲストから成る一団と共に、九州のとある城におりました
団体ツアーということで、全員のお客様を天守閣までご案内→展望台からの眺めを説明した後に解散・自由行動と考えていたのでございます。
Hで始まるお城の名前って何だろう?
ところが、天守閣で解散し、自由行動に移って頂こうとした時でございます。
一人のお客様がお連れ様と居残って、何やら通訳ガイドに言いたそうに、もじもじとしておられるではないですか。
「何かお困りですか?(May I help you?)」とお声かけしたところ、このようなお答が返って来たのでございます。
「あの...じつは僕達ここに来る前に京都でも観光して来たんだけど...その時に行った城の名前がどうしても思い出せないんだ」
「確か名前の初めにH(エイチ)がついたと思うのだけど...」
はて。京都にあるH(エイチ)で始まるシロ?KyotoにあるHで始まるcastleですって?
しかし九州出身の通訳ガイドの脳裏には、京都といえば二条城ばかりが、真っ先に思い浮かぶのでございました。
通訳案内士はひらめいた。Hで始まる京都の城に
はて。H(エイチ)で始まる京都の城?キョウトのシロ…二条城?ていうかN(エヌ)...?
Nで始まる京都の城ではないのか?
「お客様、その城はH(エイチ)ではなくN(エヌ)で始まるcastleではありませんでしたか?」
「いや確かに初めの文字はHだったと思うんだ」
そこで通訳ガイドの脳裏には、またもやH?H?エイチ...は?はひふへほ?バビブベボ?平等院?はひふへ鳳凰堂???ええB?ていうか寺?
わたしは九州在住の通訳ガイドだから(?)、Kyotoのシロといえば二条城が真っ先に思い浮かんでしまう。
だけどそれはシロウトの考えで、京都在住の通訳ガイドさんなら「Hで始まるKyotoのシロ」が即座に出てくるのかしら。ああ(ぐるぐると思いが頭の中を廻る)
観光地の記憶が曖昧なのはよくある
ですが、インバウンドの旅行者によくある事として、「訪れた観光地の記憶(地名)が意外と曖昧」「日本語の名前を覚えるのは特に難しい」というのは、わたくしも知っておりました。
新人の頃に、ベテランガイドさんから「お客様は観光した場所の名を意外と覚えておられない」と、似たような逸話をお聞きしたこともございます。
だから、お客様はお城とお寺を混同している場合だってあるかも知れないのだ...
平等院鳳凰堂ではなかったですか?
「お客様それは本当にお城でしたか?」「もしかして、お寺では無かったですか?」(何なら金閣寺・銀閣寺のような)
「いや。確かにcastleだったと思うんだ」
そうですか。「でしたら、この建物では無かったですよね?」
(平等院鳳凰堂の画像をスマホでお見せする通訳案内士)
「いや違うな」
「・・・」
わたくしの頭の中には、KyotoにあるHで始まるcastle。Hで始まる城。Hで始まるシロという言葉だけが、ぐるぐると渦を巻いておりました。
その時、通訳案内士の頭の中に、突然ひらめいたのでございます。
もしかして...その城って、あの城のことなのか?!
...!!
衝撃!Hで始まる京都の城の正体
「お客様もしかして京都にあるHで始まる城とはこれですか?」
スマホの検索画面に呼び出した画像を恐る恐るお見せしながら、通訳案内士は聞いたのでございます
すると、お客様の表情がにわかに明るくなり、「そう。これだよ!」というお答が返って来たではございませんか。
おお。やはり。
お客様が言っておられた「Hで始まる京都の城とは、このcastleのことだったのだ」
お客様と微笑み合う通訳ガイドのスマホ画面には...
「姫路城」の画像が、美しく映し出されていたのでございます
ていうか、それ。
「京都」じゃなくて「兵庫」の城ですから!